最近当会の会員が掛け試し稽古会等の外部の手合わせ稽古会等に参加し、一様に驚かれるのは「太極拳は組手をするのか?」という事です。又当会の人間が組手の練習の為に大学空手の組手に参加させて貰った時には、太極拳は拳なんですねと訳が分からない驚かれかたをしたとの事でした。勿論修行の一環として組手を行う事は中国では当たり前ですが、この疑問が何故起きるのか、ここに日本の太極拳の実情が全て集約されているように思います。即ち、組手を一切せず、武術として追及しない太極拳が一般的だという事です。勿論、これには例外もあります。ある名人は組手を殆どせず、套路を練るだけで組手の練習をしたかの如く、相手を制する事ができると言われています。従い、組手はしないが武術としての太極拳がそこには存在するという事です。とまれ、これはさて置き、中国では伝統太極拳の5流派(陳、楊、呉、武、孫)は全てと言わない迄も武術として太極拳を追及している人が少なからずいます。但し、中国政府が1956年に創った国家制定太極拳では表演のみというのが主流です。この流れが主として日本に入ってきているので、上記の様な質問となるのでしょう。私は常々感じているのは日本の太極拳は中国と違った別物になってしまっているような気がしています。即ち太極拳の上辺だけを真似して中身を真似しなかったのではという事です。日本独自の太極拳が悪いと言っている訳ではありませんが、武術として行う太極拳がもう少し市民権を持っても良いかなと考えています。こう言うと組手を行う実践太極拳のみを強調するように思われますが、小生の会では組手をしょっちゅうやっている訳ではありません。一定レベル以上の者の最後の仕上げ、検証として行っているのが実情です。ですから今でも組手を行うのは片手程度です。最初から組手を行うと太極拳の組手にならず、技術を磨く事ができないからです。だからと言って組手が不要な訳ではありません。然るべきタイミングで行う事は必要と考えています。表演のみの太極拳と武術の太極拳とがお互い市民権を得た形で発展していって欲しいと願っています。
ただ当会では武術として太極拳をやりたい人のみ組手を行っているので、望まない人に無理強いしている訳ではありません。健康になれれば良いという人は、そのようなプログラムで練習しているので、誤解なきようお願いします。
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