2003年3月22日土曜日

「漂(piao)」と「沈(chen)」

 太極拳では身体がふわふわと浮いた状態を「漂」と言います。「漂」の状態の場合、太極拳では「花架子」または「花拳繍腿」と言って要はカッコばかりで力が無いと言う意味で、これらの状態を嫌います。この「漂」の状態の場合、推手等でも簡単に飛ばされるでしょう。一方、時々有名な太極拳の先生が多くの人に押されても動かないというような映像を見た事があると思いますが、これは正に「沈」(正しくはこの漢字ではありません)の状態と言えるでしょう。これは少し触らせて貰えば分かりますが、非常に重たい状態にあります。このように功夫が出てくると「沈」の状態になってきます。こうなれば相手を崩すのも比較的容易になります。私も最初の頃この差に驚きました。この違いはどこにあるかと言えば、混元気(内気)の差にあると思われます。混元気が出てくると套路も重くなり威力も出てきます。ではどのようにして混元気を獲得するのでしょう。タントウ、套路、等色々な練習が混元気の養成に役立っています。然しながらこれらに内功を加えると格段に混元気の養成が速くなります。混元気の養成に重要な事は「松(ソン)」です。私の最初の師である朱老師はほんの数年で凄い功夫を得た人ですが、老師の套路は非常に滑らかで、且つ「松」となっています。こんなんで良いのかなと思える套路ですが、朱老師は種々思考錯誤の上たどり着いた結論との事でした。殆どプラプラやっているようですが、滅茶苦茶重そうにも見えます。本人は全然疲れないし、気持ちが良く、且つ功夫も非常に速く上がるので、馮老師の太極拳とは見た目は違いますがこれで行こうと思われているようです。馮老師の套路も表演の時は別として、我々との練習の時は非常に滑らかで楊式太極拳かと思える柔らかさです。内功以外にポイントは「松」が上げられる事は皆さんもお分かり頂けたと思います。功夫と太極の哲理を求める太極拳これが私の目指す太極拳です。なかなか道は長そうですが、奥が深く、やりがいがありそうです。