2021年3月1日月曜日

明勁、暗勁、霊勁

 今回は明勁、暗勁、霊勁の話をしたいと思います。
太極拳にはこの3種の勁があります。明勁から説明すると丹田の力が手先、足先に伝わったもので筋力を力に使わず、筋力を力を伝達する道具として使うものです。中途半端に筋力を力の源泉として使うと丹田のちからと同調せず、この力を受ける者も非常にごつごつした違和感を感じます。

次に暗勁ですが、丹田の力というよりかなりの部分が気の力を使うというものです。従い、触れている部分の摩擦が殆どなく相手を崩す事ができるものです。太極拳も中級になってくると暗勁を使い始めますが、この時太極拳で言う処の「用意、不用力」となっています。意念で気を動かすので意は使うのですが、通常の力は使わない事になります。

最後に霊勁です。完全に意だけを使い相手に触れずして相手を動かす事ができます。これを使えるには自分を捨てて相手と一体になる事が必要です。結局これは相手の気を使っているのです。元々相手の気と自分の気は区別がありません。区別をしているのは自我です。自我を捨て相手と一体になれば相手の気も自分の気の如く使えるのです。一見不思議に見える霊勁はそのような作用をしているだけです。