2022年4月30日土曜日

内功とその深化

 ある時馮志強老師との雑談の中で、内功をしていたら神が入ってきたと言われた事があります。この事を小生の体験を踏まえ話してみたいと思います。内功(武術の気功)の際に特に站椿功(静かに立ち雑念を退けた状態)の際に無極の状態(雑念が無い状態)が続くと外界と身体の区別がつかなくなり溶けていって意識のみがはっきりとした状態になる。その時に外界の気が身体の中にサーと入ってくるようになる。恐らく今までは自我が外の気を撥ね退けていたと思われるが、自我が落ちた時に外の気が大量に入ってくる。この事を指していると理解できる。この状態では気が自由に身体の外と内を出入りし始める。そうなると自分は遍く遍在する氣と一体になり、自分はここに在るが同時にそこら中に偏在しているという2つの状態が同時に成り立っている。この状態の時に人が前に立てば自分は遍く遍在しているのでその人の後ろから気でその人を押す事もできるし、横から押す事も可能になる。これは私がそう思っただけでそうなるのです。太極拳でよくある内気を使っているのではなく、外気を使って人を動かす事が可能になります。皆さんも遊びがてら試して下さい。さてこれで組手をするとどうなるかですが、通常組手の際に意識は前に行っています。然し乍らこの状態では前にいかず意識が偏在しています。従い、相手の後ろや横から崩す事が可能になります。少し崩せば相手はいつくのでこちらの攻撃が容易になるという事です。

2022年4月1日金曜日

攻防の要諦

 太極拳の散手(組手)に於ける攻防の要諦は何かと問われれば

①2人での攻防も2人で1人の感覚で組手を行う事に尽きると思われます。

2人で1人とは太極拳で良く言われる「捨己従人」です。自分を捨てて、相手に従う、又は相手を受け入れる感覚になるという事です。この時何が起こるかという事ですが、2人の気が一体化されます。気が一体化されると相手の動作が自分の事のように分かってきます。この状態で相手と対すれば相手の動きが起こる前から相手の次の動作が分かるようになってきます。この相手の動きがないが、その機がある状態を「太極」と言います。要は太極をはっきり把握する事です。そうすれば相手の攻撃が容易にかわせたり受けたりできるようになってきます。又相手が突いたり、蹴ったりしてきても、それをこちらの手で受けいれるようにして受ければあまり触れずに相手の手が逸れていきます。あくまで敵対せず自分を捨てて相手も受け入れるようにする事が肝要です。こういう感覚で組手を続ければ次第に太極拳の組手が完成されてきます。

②自分を捨てて相手に従う状態となれば「聴勁」が磨かれてきます。聴勁とは対象を設けて聴くのではなく対象と一体となって聴くのです。この聴勁は無極を深める事と「捨己従人」によってレベルを上げる事ができます。無極の状態は必ず自分を捨てる状態となっています。この無極がいかに深いかが勝負の分かれ目です。無極が深ければ深いほど聴勁の感度は上がってきます。これが次の迅速な対応に結びつくという訳です。

上記は言うは易く行いは難しです。要は練り込んでいくしかないでしょう。