2019年11月1日金曜日

単鞭の勾手に関して

太極拳と言えば単鞭を想起される方も多いかと思います。この単鞭について少し述べてみたいと思います。太極拳各流派でこの単鞭が異なっていますが、この単鞭の際に手を鈎のようにします。これを一般的に勾手(ごうしょう)と言います。楊式太極家の場合は指を伸ばして何かをつまむような恰好を取る処が多いです。これに対し陳発科の陳式太極拳に伝わっている一つの方法は「風眼」といい、親指に人指し指と中指を被せる形で横からみると眼の形をしています。従い「風眼」と言われています。専門的な話ですが、これは勾手をそのまま拳としても使えるようになっています。その使い方には種々口伝があります。これは陳発科老師から馮志強老師への伝承なので陳発科老師が使っていた事は間違いありませんが、陳式の先祖からの伝承なのか陳発科の独創なのかは分かりません。というのも陳家溝の勾手は陳発科老師のものとは異なっているからです。いずれにせよこの勾手を見るだけで陳発科の太極拳がどうかわかるわけです。
多くの人は套路が伝わったのでその太極拳が伝わったと思いがちですが、実際は套路はその太極拳の一部に過ぎません。套路以外の練習方法や、套路を打つ時の口伝、套路の招式の些細な形の違い、こだわりも含めて伝わる時にその太極拳が伝わったと言えるのではないでしょうか。そしてやはりその太極拳の功夫が伝わる必要があります。