2016年7月14日木曜日

陳発科に伝わる陳式太極拳(改定2)

北京で陳式太極拳を広められた陳発科老師に伝わる陳式太極拳とその他の陳式太極拳には少し違いがあるように思います。
因みに名人陳発科老師は陳式太極拳を代表する人物で陳家の嫡男でもありました。従い、正嫡である発科老師の陳式太極拳とは違う陳式太極拳が現在一般に流布しているように思われます。それはそれで非常に良い事で異議を唱える積りは全くありませんが、ここであまり知られていない陳発科の陳式太極拳を改めて示す事は両者の違いを知って貰う意味でも後学にとって意義のある事かもしれないと思い下記に少し例を示してみたいと思います。


1.単鞭は親指、人差し指、中指で作り、親指を立てて人差し指、中指を被せるよう
  にするのが、北京の陳式で親指が心臓、人差し指が肝臓、中指が脾臓を表し、そ
  の3つが合わさるようにする。これは陳発科の北京陳式のやり方であると馮老師から
  教わったもので、特に他の陳式とは異なる方法。この単鞭を見れば北京陳式かどうか
  が判別できるもの。


2.掩手肱捶は一本の線のように打つのが発科老師の陳式であるが、その他の陳式では肘
  を外に出して打つ振り打ちとなっている。これはこれで別の用法もあっての事と思う
      が威力という面では振り打ちの威力は真っ直ぐに出す打ち方と比べると劣る事にな
  る。これは偶々馮老師のお宅にお邪魔した時に掩手肱捶に関して質問した時に実際見
  せて頂き、且つ丁寧に説明して頂いた。陳発科老師は銃の弾のように螺旋に回転させ
  て打つように言われたとの事。又肘は外に出さず、真っ直ぐ先に出た拳と重なるよう
  に打つように言われたとの事でした。陳家溝の陳式は陳発科老師の甥の陳照丕先生の
  陳式が元になっているので、同先生の工夫があっての事と思うのでどちらが良いとか
  の話ではありません。
  参考迄に馮老師の掩手肱捶に関する解説がYOUTUBEに挙がっているので御覧になっ 
  て下さい。(https://www.youtube.com/watch?v=p8B9YyaDSCk)
 

3.金剛搗捶は発科老師に於いては挟み撃ちであり、右の拳で左の掌を打つが、そ   
  の他の陳式では右手の甲で左の掌を打つ事となっている。


4.発科老師は斗劲(とうけい)は陳式太極拳では無いと言われており、その意味は
  陳式の本質を構成する主要な要素では無いと解釈している。北京の公園でもや
  たら斗劲を使って表演しているのを良く見かけたが、発科老師の全伝を受けた馮
  志強老師の混元の套路では一切斗劲を使っていない。寧ろ斗勁を嫌って居られたふし
  があります。


陳発科老師は次男の照奎をかわいがっていたと言われていますが、照奎老師はよく訪れたある地域でも発科老師の套路を新架式と呼ぶのはおかしいと常々言われていたとの事です。発科老師は陳式の正嫡なので、発科老師の套路が老架式と言うべきと。この話と符合するのは馮志強老師も陳発科老師の套路を老架式と言われていました。馮老師に新架式とは何かお聞きした時、この混元太極拳が新架式と言われていました。