2020年10月2日金曜日

楷書の混元太極拳2

楷書の混元太極拳を打ち出してから何が楷書なのかという質問を受けましたので、この場にてお応えしたいと思います。
そもそも馮志強老師の套路は暗勁を用いる事が多く、普段は勁がはっきり見えないきらいがあります。勿論、表演等では明勁を出して套路を打たれる事もありますが普段はあまり明勁で套路を打っておられなかったようです。それを外形だけ真似ても中味が無い、勁が出ない套路となりがちです。現地に住んでおらず、日本から通いの生徒は往々にしてこの傾向に陥りがちです。小生の場合は偶々張禹飞老師からも御指導頂いていたので、同老師から度々勁が間違っている箇所については指摘され、修正されました。小生も一つ一つの勁を確認し、馮老師にも確認を取って套路を打って来ましたので各招式がどのような勁を出すのかに関しては多少知る処となりました。まずは明勁でしっかり套路を打ち、上級になるにつれ暗勁でも套路を打てば良いかと思います。その為に私の主催する会では勁の検証を各招式毎に度々行っており、勁が出て相手が飛ばない、もしくは動かない限りその招式の勁が出ておらず、招式ができていないと判定しています。
現在日本で混元太極拳を普及するにあたり、この正しい明勁を正しく伝える必要があり、その套路を楷書の太極拳と呼んでいるのです。
最近も張老師から中国における混元太極拳の表演動画を送って来られ、こんな勁が出ていない套路を打っているようでは墓場で馮老師が憤死されていると言われていました。
日本でも状況は似たようなものではないかと危惧するこの頃です。これらの事を背景に最近「楷書の混元太極拳」を提唱しているのです。正しい勁で打つ事が套路においては大事です。中国人は個性的な為、套路を色々と変えてはいますが、勁は同じである事が必要です。これが伝統太極拳の根本的な考え方です。その意味で楷書の太極拳が皆さんお練功の一助になれば幸いです。