2019年2月2日土曜日

套路に関する考察

最近介護施設で高齢者を教え始めて今の套路はこれで良いのかという疑問に突き当たっているこの頃です。元々套路(型)は太極拳の技を集めたものです。これを呼吸と動作を合わせ気功にしている訳です。しかし介護施設等で教えていると気功なら良いが太極拳はどうもと敬遠される傾向にあります。太極拳の套路は動気功ですと言って少しは套路も練っていますが、一般の人が太極拳を敬遠する主な理由は下記2つに集約されると思います。
1つは太極拳のような動作はできないという事です。これは制定太極拳で足を上に上げる動作や片足で立つ姿勢を見てのものと思われます。
2つめは動作が覚えられないという事です。実際太極拳を止められた方の多くは套路が覚えられないとの理由で止めています。
上記を鑑み混元太極拳を簡単にし、24式を更に8式にした「養生8式」を作りましたが、これでも難しいと感じており、この内最初の起式と金剛搗碓の2式をメインに練っています。実際健康目的で武術をやらない方が太極拳の技を覚える必要は無いと思っています。従い、最近の結論は太極拳の基本的な動作「掤(ポン)、捋(リュー)、擠(ジー)、按(アン)、采(ツァイ)、挒(リエ)、肘(ジョウ)、靠(カオ)」を移動しながら行う「八法」という練習方法があるのですが、この内の「掤(ポン)、捋(リュー)、擠(ジー)、按(アン)」の「四正」を取り出し、これを練る事だけで良い気がしています。これを練習すれば早い時期に基本的な勁が出てくるので太極拳の奥深さも味わえるのではないかと思っています。又勁が出ているかはお互い検証しながら進めれば楽しく進められるので尚、良いでしょう。
ここで少し制定太極拳について言わせて貰えば、制定太極拳24式は多くの人が入門の時に練る太極拳として行われていますが、この24式は入門には全く向いていないと考えています。というのも制定24式は楊式太極拳をベースに作られていますが、楊式は最初から最後までファンソン(通常リラックスや脱力と訳されているもの:詳しくは後段で説明します)で通していく非常に高度な太極拳です。多くの方がこのファンソンが出来ず、又出来ていない事も気が付かず、結果勁が出ず、太極拳の面白さが分からず止めていくというパターンではないかと思います。套路を覚えるのが好きな人は続くのでしょうが、それ以外の人は続かず止めていきます。因みに、ファンソンは多くの人に誤解されていますが、単なる脱力ではありません。内気の充実により内気に裏打ちされた勁が出てくる為力んだ力を入れる必要がない状態を言います。何れにせよ制定24式は私も好きな套路ですが、入門には全く向いていない套路と思います。
太極拳の魅力を皆が味わえ、更に太極拳を広めていくには武術として太極拳をやる人は別として、健康志向で太極拳を始める人には別の練習メニューがあって然るべきと思います。その意味では各流派の代表が集まり、健康志向の人の要請に応える簡単な5式位の套路を編纂するのも良いかと思います。

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